人民新聞「時評 短評 私の直言」掲載記事

当会メンバーの「突入」が何かおそろしい脅威のように表象される一方で、主催側による過剰警備の暴行は、「よくやった」「おつかれさまでした」「変な奴らに絡まれて大変でしたね」などと称賛され、ねぎらわれてきました。(本来そこにあるはずの)対立や緊張関係を顕在化するような抗議行動がふだんそれほど無い環境では、告発や抗議をする者が、「平穏」な日々に波風を立てる者として、もっといえば「暴力的」な者として認識されるのでしょう。しかし、当会が「あなたの知らない暴力、見つめてみませんか?」というフレーズで呼びかけたように、当たり前にミスコンが企画され、ほぼ毎回何のトラブルも滞りもなく完遂されるということ自体が、女性を容姿で評価して皆で眺めるのは当然のことだという暗黙の了解に下支えされた「暴力」です。

 

2016年6月25日 人民新聞 No.1586 の「時評 短評 私の直言」コーナーにて、ミスコン当日の暴行事件とそれまでの抗議の経緯について書かれた記事が掲載されました。 このたび投稿者の方に許可をいただき、記事の画像とあわせて全文の引用をここに掲載いたします。

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北大・ミスコン抗議者への暴行事件

加害と被害を逆転させる構造的暴力

 (大学院生・シングルマザー 松岡千紘)

 

6月2~5日、北海道大学で開催されたミスコンに反対する学生らによる抗議行動において、北大祭事務局のメンバーが抗議者へ暴行を働いた事件が話題になった(twitterより)。この件について、ミスコンという企画が含む性差別性はもとより、差別や抑圧へ反対する側の「抗議」が、加害側の「自衛」的暴力にさらされ、かつその一連の出来事の物語の中で「加害」と「被害」が逆転する現象に焦点を当てて考えてみる。

 事実の経緯について非常にざっくりとまとめてみる。ミスコンに抗議を行う側は「女性が絶えず美醜によって順位づけられる日常」の延長線上にあるミスコン開催を阻止する目的で抗議を行っていた。抗議を受けた当該企画の主催者は、「ジェンダーへの配慮等が欠けていたのは事実」であると述べつつ、しかしながら「企画運営の準備の都合上」、今年度の中止は出来ないと返答。このような屁理屈でミスコンを強行的に開催しようとした主催者らに対し、抗議者側はプラカや拡声器をもってステージに突入する手段をとった。ところが、事務局スタッフは、彼女/彼らに対しヘッドロック、押し倒す、首を絞めるなどの過剰な暴力で応答(メンバーの一人はステージ上から、頭から地面に落とされる)した。

 これについて。北大祭事務局側はHPで次のように説明した。長くなるが引用する。「ミスコンは6月4日(土)20時より開催され、企画開始直後、企画運営を妨げる者が現れました。…北大祭スタッフではこれらの妨害行為を止めるなどの対応を行いました。その際、北大祭スタッフが指を噛まれた、髪を引っ張られたなどの行為を受けたことが報告されています。一方で、企画運営を妨げる者に対して北大祭スタッフ1名が首をつかむといったことを行ったという申告もありました。…再度このような事態が生じることがないよう、ステージの警備体制の在り方についてなど企画運営方法について再考し、努力してまいる所存です」。

 まず、この文面からは妨害行為/抗議行動を行った側が不当な行為をしたという印象を与えられる。しかし、先に説明したように、事実の経緯としてはまず抗議者側からの企画の問題性の指摘が行われ、それに対して極めて不誠実な対応がなされたことから、今回の企画阻止行動があった。突然どこからともなく企画を妨害する謎の集団が現れたわけではない。

 こうした構造的暴力の一端を担う行為を免責/隠ぺいし、結果現れた抗議の声をあたかも迷惑行為であり「加害」であるような物語は、「加害」と「被害」を逆転させる装置となる。いうまでもなく、こうした「加害」と「被害」の逆転はあちこちで繰り広げられている。過度に一般化することには慎重にならざるを得ないことは承知しつつも、ここではあえて差別への抗議等に関し、その現象が顕著になると指摘したい。時に性暴力の加害者が、しばしば自分こそが真の被害者であると主張するように。これ以上、構造的暴力による痛みに忍従する必要がないと気づいた人の行為か、それとも自分を守るための無我夢中の行為であったのか、いずれにせよ、結果として現れた抗議を「暴力」であり「加害」であると批判する風潮は蔓延していると感じる。

 「暴力」に注視を促し、問題の「構造」を隠ぺいする権力は、往々にして、構造的暴力が痛くもかゆくもない人々にすんなりと受け入れられていく。同時に、その問題を当事者間の「個人的ないざこざ」であるとか、「痴話げんかの末に…」といった言説のオブラートで包んでいく。「このくそったれ!!」思うが、粘り強く構造の暴露を進めていくしかないのだろうか。少なくとも私は、こうした形で怒りの力を不当に奪われている人たちの立場にできるかぎり連帯したい。

 

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当日の暴行&ミスコン強行について、実行委からの返答

 6月16日、当会は、北大祭実行委のミスコン強行と当日の暴行に関し、抗議文を提出しました。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)

【お知らせ】 ミスコン主催側に抗議文・要望書を提出しました - 北大祭におけるミスコンに反対する会 公式ブログ

 

これにたいし、6月30日(木)、実行委から返答がありました。

全文はこちらです。上の記事をまだ読まれていないかたは、併せてご覧ください。

antimissconhu.hatenablog.com

 

この返答にたいするコメントは、また後日させていただきます。

取り急ぎお知らせまで。

 

 

 

 

 

 

 

【全文】6月30日実行委返答

楡陵祭企画「ミス北大コンテスト2016」について
楡陵祭2016実行委員会
委員長小林絵麗菜
先日いただいた抗議声明に対する回答は以下の通りとなります。既にミス北大コンテスト2016(以下、ミスコン)において警備を担当していた者から聞き取りは行っており、それに基づいた回答となります。


A.当日の警備行動について
1.警備体制
警備に入る北大祭スタッフ(以下、スタッフ)にはスタッフジャンパーの着用、及びステージの乱入を妨げる者がいた際には相手を制止するといった指示をしました。また、予め警備に入ったスタッフには暴力行為に走ることはせず、ステージ上への乱入行為を止めることに限定し、来場者に不快な思いをさせないよう努めることを共有していました。
それにも関わらず、首をつかむ行為があったことは、ミスコンを妨害する行為があまりにも強行的であり、現場にいたスタッフが力で制止をせざるをえない状況に置かれていたからです。一部警備を行っていたスタッフが髪を抜かれた、指を噛まれたなどの報告を受けていますが、その一方で首をつかむ行為があったことはその場にいたスタッフが冷静でなかったことが考えられます。来年度以降の警備体制については再検討する予定です。
結論といたしましては、本実行委員会による警備体制は、首をつかんだ行為を除いて「楡陵祭の円滑な運営のための警備」としては適切であったと考えています。先述した通り、今後の警備体制については再考いたしますので、ご理解の程よろしくお願いします。
2.写真・動画データの提供
本実行委員会ではミスコンにおけるステージ上の映像は所有しております。その為、ステージ上でのガスマスクを被った者のダンス、及びその者をステージ脇への移動をさせるスタッフの様子は撮影しております。しかし、使用目的が明確ではない以上、現在のところ提供いたしかねます。
3.謝罪、治療費
ミスコンに関する騒動でケガをされた方々には、深くお詫び申し上げます。首をつかまれた行為に関しましては請求を承るつもりです。つきましては、首をつかまれた方が直接請求されることを要求します。しかし、スタッフの一部にも肉体的・精神的に傷ついた者もいます。それを踏まえたうえで請求していただくことを認識していただきたいと思います。


B.ミスコンについて
1.強行についての謝罪
再三の中止要求にもかかわらずミスコンを強行した、という意見をいただきましたが、本実行委員会として実行に移したのは、中止要求がミスコンの企画の趣旨とは異なっている為です。「ミスコンは、女性をその外貌や「内面」によって品評し、それを見世物として
楽しむイベントです。」(資料2より引用)という意見をいただきました。確かにミスコンの目的は北大で最も美しい女子学生を決めることです。しかし、それを女性の「品評会」や「見世物」といった差別的な見方で批判するということは非常に残念に感じています。そもそも本実行委員会ではそのような視点で楽しんでもらうために企画したわけではありません。女性を軽視しているという意見をお持ちになるかもしれませんが、あくまでも北大祭を盛り上げるための一企画であると考えています。
北大祭ではすべての方に楽しんでいただきたいと考えています。それは来場者に限った話ではありません。模擬店を運営している方々、ステージで演技披露をしている方々、そしてミスコンのファイナリストも含まれます。ミスコンのファイナリストは自分の意思でミスコンの出場を選びました。もちろん人が集まらなければミスコンを中止にしようという考えもありました。その中で実行に移したのはファイナリストや実行委員会が、女性や男性などの性別に捉われず皆様に楽しんでいただければと思ったからこそです。ファイナリストが一人の北大生として自ら特技披露や自己アピールを通して、来場者に楽しんでいただくことは他のステージの出演者の意思と共通しています。では他の出演者に対しても品評会、見世物として見てしまうのでしょうか。それは今回のミスコンのやり方に問題があったからであると思います。ただ美しい女性を決めるということを強調してしまったこと、それがこのような騒動に繋がっていると思います。
北大生がこれまでの日頃の成果や自分をアピールする場、それは北大祭が担う役割であると考えています。その為、今回のミスコンの実施は強行であったとは考えていません。
もちろんミスコンの騒動やいただいた資料を見て、ミスコンを不快に感じる方がいらっしゃることがわかり、北大祭に来られた全員が楽しめる企画でなかったことは認識しています。その存在や意見を真摯に受け止め、来年度以降のミスコンのあり方、また他の企画についても同様に考えていければと思います。今回の騒動については次期の実行委員会を通し、引き継ぎをより慎重に行う予定です。
2.話し合いの場の設置
現在そのような場の設置を考えておりません。
3.公式声明について
企画運営を妨げる者が全員、ミスコンを反対する会の会員であったのか不明瞭であったため、「企画運営を妨げる行為」の主体を明確には記載することができませんでした。企画運営を妨げていたものが全て北大祭におけるミスコン開催に反対する会の会員であったのかどうか確認できるのであれば報告を求めます。その上で、公式声明については検討します。
以上

シンデレラとミスコン

 今は精神的にキツいから決して読まないが、数年前、2ch系まとめブログのウォッチ(監視)を日課にしていた。2ch系まとめブログは、性差別や人種差別をはじめとしたさまざまな差別的言辞が、正論・快刀乱麻であるかのように演出される場所(それは何処にでもある)の一つである。

 私は、(首都圏の)ミス・キャンパスに出場した人や、その大学の女子学生ぜんたいに関するイメージなどが、そこでどのように語られ扱われているのかを、苦々しい思いで見ていた。そこでは、「美人」が「賞賛」されているというよりむしろ、誹謗中傷にさらされていたのだ。思い出したくもないので、具体例は書かない。わかるひとにはわかると思うから。

(北大ミスコン+twitterの場合はこんな感じ→https://twitter.com/missconwwww/status/733988998972997632

 

 まず、叩かれる根本的な原因は、かの女たちには無い。一切無い。むしろ、どんな見かけであろうと、どんな内面を持とうと、どんな状態にあろうと、なにをしようとどこにいようと、それが「女」であるとみるや叩くひとびとというのが存在するからである。

 かれらにとっては、「女」がけしからん理由など、すぐ見つけることができる。おそらく、なんでもいいのだ。そこに合理性は求められない。
かわいいからけしからん、醜いからけしからん、妊娠しているからけしからん、妊娠しないからけしからん。
モテるからけしからん、モテないからけしからん、賢いから、バカだから、黙るから、怒るから、泣くから、笑うから、けしからん。
・・・・・・
キリがない!

 

 こうした女性蔑視の一形態として、ミスコン出場者にたいするバッシングがある。
そして、このことと、ミスコンを企画することや大っぴらに「可愛い女の子」を鑑賞し評価をすることとは、とある点で共通している。
かの女たちを並べて鑑賞し評価を下すことが、自分たちには当然に許されているという感覚だ。その誤った感覚を肯定し支えるものとして、メディア、出版物…etcがあるのだが、ミスコンというイベントもそのひとつだ。

 

 ミスコンは、「だれそれが可愛い」という話だけでは完結しない。
「だれそれが可愛い」という話に加えて、「だれそれが可愛くない」という話と、その話をする自分たちは決して批判されない、という3つの話がセットになって、ようやく完成する物語である。

 

 そういえば楡陵祭実行委員会は、ミスコン出場者募集のチラシや公式アカウントのアイコンに、「シンデレラ」のモチーフを使った。「シンデレラ」は、要はミスコンの物語だ。


 あのミスコンの物語では、シンデレラ自身は「内面的な魅力」があり(それなりに着飾れば「美貌」であり)、継母や異母姉達は外貌も内面も醜いとされている。このように、だれが「悪女」でだれが「聖女」かという話にはなるのに、一方、王子様は王子様であるという理由で決して「てめえ何様だよ」とは問われないし、読者もまた問われない。


 「聖女」を選別するための評価基準=ガラスの靴は、多くの「悪女」のつま先を傷つけ、かの女たちが受ける嘲笑や罵倒(ex.「身の程をわきまえろ!」)を正当化した。
そして、主人公の人生譚は、王子様(何様だよ)との結婚を機に、あっさりと打ち切られてしまう。「おめでとう!あなたがナンバーワン!もういいでしょこれで!はい解散!」

 

本当にひどい、現実みたいな話だ。

これを「夢みたいな話」として聞かされて育つ身になってみろよ。

夢見ることすら許されないのが「女」である。

 

もし実行委員会がこのことを知りながらシンデレラ・モチーフを広報に採用したのなら、けっこうたいした悪者だと思う。しかし、実行委員会の一連の言動から察するに、そこまでの悪いことを考えている自覚がまったく見えない。脱力してしまう。なんといったって、「来場者のニーズに応えること」しかしていないと言うのだから。


荘津 巴

【お知らせ】 ミスコン主催側に抗議文・要望書を提出しました

6月16日(木)、当会は、ミスコン主催側である楡陵祭実行委員会に対し、抗議文・要望書を提出しました。

その抗議文・要望書を公開いたします。

 

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前略

2016年6月4日に行われた北大祭の公式企画「ミス北大コンテスト2016」(以下、ミスコン)において、楡陵祭実行委員(以下、実行委員)から私たち「北大祭におけるミスコン開催に反対する会」(以下、「当会」)のメンバーに対する暴行・傷害が発生しました。
 当会は、公開質問状等を通してミスコンの中止を求めていましたが、実行委員側があくまで強行するという回答でしたので、当日抗議活動を行い、その際実行委員会側ともみ合いになりました。
当会のメンバーがステージに上ろうとするのを制止することは、実行委員の任務として理解できないことはありませんし、私たちも実行委員による排除は想定しておりました。ですが、当日の実行委員による当会メンバーに対する暴力は、「楡陵祭の円滑な運営」のための行為という範囲を遥かに超える過剰なものでした。
 具体的には、ステージ上から突き落とす、首を絞めるなど、当会メンバーの動きを制止するという目的を超えた暴行・傷害であり、一歩間違えば重大な事故につながりかねない危険なものでした。当会としては、これらの暴行を「抗議活動に付随するアクシデント」として容認することは決してできません。現在、当会内部で、今後の対応を検討しております。それに関しまして、以下の要求(A)をいたします。
 また、そうした問題ある警備体制の元に行われたミスコン自体の是非について、改めて異議を唱えます。当会はミスコンの性差別性を指摘し、複数回にわたり中止を要求してきました。しかし実行委員側は「配慮が足りなかった」という見解を示しつつも、なおイベントを強行しました。このことに関連して、以下の事(B)を要求します。
 
AおよびBの全ての要求事項について、実行委内部で誠実に検討したうえで、6/30(木)までに回答することを求めます。また、今回の出来事が解決するまで、今年度の実行委員会の解散を延期すること、あるいは(来年度実行委員への丸投げではなく)今回の問題を解決するための責任主体を残したうえでの解散を求めます。

責任あるご回答をよろしくお願い致します。
回答送付先 missconwwww@gmail.com


草々
 

 


A. 当日の警備行動について

1. 調査報告書の作成・公開
 ミスコンに反対する私たちの抗議行動に対して、楡陵祭実行員会として、どのような警備体制で挑んでいたのかについて、詳細な報告書を作成、公開することを望みます。実行委の公式ホームページにおいて、あの出来事についての声明*1が出されていることはもちろん知っていますが、そこで語られていることはあの日起こった出来事の断片に過ぎず、また事態を正確に記しているとは言えません(具体的には、こちらからの行動を過大に見積もり、そちらの被害を大仰に書き立てているという印象を受けます)。あのような断片的な情報しか得られない中では、当日の出来事について振り返ることはできません。

報告書の作成に当たっては、どのような出来事が起こったのかについて、当日のミスコン警備にあたっていたスタッフ全員へ聞き取りを行い、作成してください。それに基づいて、当日の警備体制が「楡陵祭の円滑な運営のための警備」として適切な行為だったのか、結論を出してください。(※資料1:「抗議のためにステージ突入を試みた時の当会メンバーの動きについての聞き取り」を参照のこと)*2
当該報告書には、当会による抗議行動を止める際に、「暴力を使ってでも止めること」という指示が実行委員会内で共有されていたのか、逆に「止める際に暴力を用いるのは問題である」という指示がなされていたのかについて、また、こちらからどのような行動があると想定してあのような行為に及んだのか(こちらから暴力を伴った行為があると考えていたのか、そう考えたとしたらどのような根拠によるのか、など)についても、明らかにしてください。
 これらの詳細を書面でまとめ、ホームページなどで一般に公開し、また楡陵祭の公式記録として保存および引き継ぎをすることを要望します。

2.写真・動画データの提供
 上記A-1同様に、事態を正確に把握するため、実行委の側で当会のメンバーの動きについて記録しているものがあれば、写真・動画その他のデータを当会へ提出することを要望します。

3.謝罪、治療費
 楡陵祭実行委員会が我々を排除するために行った暴力により、メンバーの一部は負傷し、医療費が発生しました。その医療費について、実費で請求します(約二万円程度)。
 また、そのような暴力的な警備体制を敷き、精神的・肉体的苦痛を味わわせたことについて、A-1での調査報告を踏まえた上で、楡陵祭実行委員会としてあらためて謝罪することを要求します(公式発表でも、一部謝罪がありましたが、そもそもの事実認識の時点で齟齬があるため、そのまま受け取ることはできません)。

 

B. ミスコンについて

1.強行についての謝罪
再三の中止要求にもかかわらずミスコンイベントを強行したことを事実として認め、謝罪してください。

2.話し合いの場の設置
ミスコンの是非について、当会や、その他の学生・教員・一般市民も含めて、話し合いや説明の場を設けることを求めます。
(※資料2:「何故ミスコンは開催されるべきでないのか」を参照のこと)*3

3.公式声明について
北大祭公式サイトにて公開された『「ミス北大コンテスト2016」における騒動について』という文章において、「企画運営を妨げる行為」の主体がミスコン開催に抗議していた団体であることを表記しなかったことは、我々がミスコンを批判し中止を要求していた事実や、ひいてはミスコンがはらむ性差別的な問題を隠ぺいすることになり、看過できません。
したがって、当該文章を訂正し、抗議の主体(当会)を明記することを求めます。


以上

 

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なお、提出した資料1・2は、脚注で示した記事と同じ内容のものとなっております。参照ください。

 

 

なぜミスコンは開催されるべきでないか


女性(女性であろうとする人や女性と見なされる人:以下「女性」とする)は、日常的に、男性社会に都合のいい存在であるかどうかによって品評され、順位づけられています。その評価基準の一つが「外貌の美しさ」です。(たとえば、テレビ、広告、小説、漫画などの大衆文化や商品には、「女性は若く美しくありつづけなければいけない」というメッセージが氾濫しています。)

 ミスコンは、女性をその外貌や「内面」によって品評し、それを見世物として楽しむイベントです。そして、女性の外貌や「内面」が常に品評の視線にさらされるという社会の在り方を肯定し、再生産するものです。そのあり方は、何かフラットで客観的な「美の基準」を持ちだして行われるようなものではありえず、既存のジェンダー規範を忠実になぞり、かつ再生産するものとしてあります。その性差別性あるいは不当性は、たとえ「ミスターコン」を同時に開催したとしても、到底拭えるものではありません。

また、ほんらい多様でありうるはずの「美しさ」に関して、それを一律の価値観のもとに優劣をつけ、またそこに当てはまらないものを排除するというミスコンのゲームにおいては、「女性」だけでなく、セクシャルマイノリティ、エスニックマイノリティ、障害者など、さまざまな人々の多様性が否定され、そのことは非常に差別的であり、不当です。

ミスコンを肯定する、あるいはそれをなんとも思わない人たちは、「そんなものは世の中にいくらでもある」と言うかもしれませんが、私たちはそうした(ミスコンに限らない)社会の様々な差別的な営みに反対していますし、そうしたものの象徴としてのミスコンに対しても異議を唱え、抗議しています。

また、ミスコンは、主催者・観客・出演者だけに閉じているものではなく、全員強制参加型のイベントです。たとえば今回の「Ms.Hokkaido University Contest」では、北大に居るすべての人が分母にとられ、その中から一番美しい「女子学生」を決めるという構造になっています。応募条件は「北海道大学女子学生(学部生)」ですから、すべての北大在籍者から、まず男性を除外し、つぎに教員・院生・職員等々を除外し、最後に余った人たちのなかで、一番を決めようというイベントであるわけです。ですから、このミスコンにおける審査の対象者は、エントリーした「女子学生」だけではありません。エントリーしなかった「女子学生」や、応募条件によって除外されている人々も「ミス北大」にまったくの無関係ではいられません。

そもそも、ミスコンは「一番美しい未婚女性(ミス)を決めてやる」という性質のものです。ですからミスコンは、「未婚女性は他者(多くは男性)に美しいと評価されることが大切だ」という性差別的価値規範を《全ての人に向けて》発信するものであり、その開催を決定し公開周知するということを含めて不当です。

私たちがミスコン反対の現場でしたこと(聞き取りまとめ)

 

ミスコンの抗議のためにステージ突入を試みた時の、メンバーの動きについて、詳細な聞き取りを行ったので、それについて報告する。なお、表記については

ミスコンに反対する会のメンバーは、「メンバー」

楡陵祭実行委員は、「スタッフ」

で統一している。

 

・A(男性):
 他のメンバーと同時にステージ脇からステージに向かい、スタッフの制止に衝突せずにステージ上にのぼることができた。司会をしているスタッフの前で踊っていたが、数秒後にスタッフによって排除された。その際は特に抵抗せず、ステージの端まで後ろ向きに連れて行かれたが、最後はステージ上から落とされ(突き飛ばされ)、背中から地面に落ちた。
→目立った外傷などは無し

 

・B(女性):
 ステージ横から、プラカードを持ってステージに向かって進んだが、もみくちゃ状態に巻き込まれ、いつの間にかプラカードを奪われ、気付いたら倒れていた。その際、そばに置いてあった金属製の脚立に足をぶつけて負傷。
 その後、立ち上がって後ろに引いて「ミスコン反対」などとコールしていたところ、横から男(スタッフのジャンバーを着ていない)が走ってきて、両手で肩をつかまれ、地面に投げ倒された。
 また、ミスコン終了後、帰り際に会場近くを一人で歩いていたところを、「てめえ何してんだ!」とスタッフから威圧的な発言を受けた。

 

・C(女性):
 トラメガとプラカードを持ってステージ突入を試みるが、5,6人ほどの男が正面から突っ込んできて、阻止された。その際、腕や体をいろいろな角度から引っ張られるなど、もみくちゃ状態に。それでも「暴力反対」「ミスコン反対」と叫んでいたところに、口の中に何かを突っ込まれたため、それを噛んでしまった。(あとで、手を噛まれたという運営スタッフがいるという情報を知ったが、それは自分が噛んだものと思う)
 さまざまな方向に引っ張られたが、後ろに倒す力が強く、また脚で脚をすくって倒すような、技のようなものをかけられた。金属製の脚立が近く後方にあるのが目に入り、「これに頭からぶつかったらやばい」と思ったため、手当りしだいに周りのものをつかんでいた(結局地面には倒された)。どこかのタイミングでトラメガを奪われ、後ろに退散。あとでトラメガを取りに行ったら、それをスタッフに取り上げられ、「もう叫ばないのなら返す」と言われ、取り返す。その間も腕をつかまれ引き倒されそうになり、退却。
 その後、スタッフの何人かに暴力について抗議を続けた。
→指の負傷(捻挫?)。全身筋肉痛。

 

・D(男性):
 ステージ突入を試みたが、スタッフに道をふさがれてステージには上がれなかった。スタッフから「こちらのほうが数が多いですよ」と言われ、口頭で文句を言っていた。他のメンバーが撤収したので、自分も撤収。
 その後、観客席の後方に回り、事前に用意していたビラを丸めて、観客席に向かって投げていたところ、スタッフの一人が近づいてきて、なんの警告も注意もなく両手で首を絞められた。そのまま抵抗せずにいたところ、取り囲んでいた他のスタッフが「ケガをさせたらまずい」と言いながら止めに入り、解放された。止めに入ったスタッフが、「ちょっとこっちに来て」と言ったので、ステージ横に移動して話をしたが、特に謝罪は無かった。
 →頸部擦過傷、頸部挫傷(全治一週間)

この出来事の詳細については、以下の記事を参照のこと

 

antimissconhu.hatenablog.com

 

・E(男性):
 他のメンバーと一緒にステージ突入を試みたが、もみくちゃ状態でかなわず、「ミスコン反対」「暴力反対」と主張しながら、ステージ正面からのぼろうと試みるも、スタッフから引きずりおろされ、手が動かせない状態で体(肩あたり)から地面にたたき落とされ、頭を強く地面にぶつける(a) また、ステージ横に居たスタッフに首に手をかけられ、地面に引き倒され、ヘッドロックで首を絞められる。しばらく首を絞める勢いを緩めないので、「こちらを落とす(気絶させる)つもりなのか」と思ったところで、解除され、退避することが出来た(b)
  ((a),(b)については順序不明)
 ヘッドロックをしてきたスタッフとにらみ合いながら退却した後、そのスタッフが「こいつに暴力を受けた!」と主張し、言い合いになる。ヘッドロックしたスタッフに名前を聞くも、名乗らずにいなくなる。その後は、ステージ横にいたスタッフに口頭で、暴力的な警備体制およびミスコンの強行について抗議を続けた。
 →指からの出血、背中や頭の痛み
  脳外科救急:CTなどでは異常なし(ただし、整形外科や内科などは未受診)

 

・F(女性):
 ステージ横から他のメンバーと一緒にステージに向かって進んでいったが、スタッフによって腕や肩、腰などを掴まれて止められた。そのまま後ろに引っ張られたり押されたり、もみくちゃ状態に。押された時に前に倒れ、金属製の脚立などに両足のすね、ひざ、足首などをぶつけた。もう一度前に行こうと試みたが、知らない男に肩と背中を触られ、「落ち着いて」と言われて後ろに下がった。
 呼び止めた男はスタッフジャンパーを着ていなかったので、「誰だ」と思い、かけられていた手を振り払ってから、一旦現場を離れて、「ミスコン反対」と数回叫んだ(a)。衝突の際に落ちた黄色いメガホンをステージ横に取りに戻った(b)。拾おうとしたところで、スタッフに取り上げられたため、「返せ」と抗議した。その後、他のメンバーの様子を後ろから眺めてブラブラしていた(衝突で落ちた帽子を回収しに行ったり、スタッフと話したり)
 ((a),(b)については順序不明)
→整形外科受診:全治一週間の打撲

 

・G(女性):

 他のメンバーに続いてステージに向かおうとしたところ、目の前にスタッフが集まってきて、先に突入しようとした人達が取り押さえられ始めた。メンバーを取り押さえている男性スタッフをメンバーから引き離そうと試みたが、もみくちゃの状態の中で、数人がバランスを崩して倒れかかってきて、自分も肩から倒れた(その際に、倒れたメンバーCの上に男性スタッフが倒れかかったのを目撃した)。

その後、立ち上がって少し後ろに下がり、黙って立っていたところ、「君、何してるんだ!」と男性スタッフから左腕を掴まれ、また別の男性スタッフから右腕もつかまれた。左腕を掴んでるスタッフを睨んでから、身体をひねって振りほどいた。

 その後、少し離れた地点でメンバーCが奪い返したメガホンを受け取り、「ミスコン反対」と三回ほどコールをした(が、その時にはメガホンは壊れて使えなかった)。

 その後、スタッフとメンバーの話し合いの様子を、携帯電話で撮影したところ、後ろから「何で撮ってるんですか!」と声をかけられ、スタッフに携帯ごと取り上げられる。「なんで撮っちゃいけないんですか」と抗議したが、あまり返答はなかったので、自力で相手の手から取り返し、撮影を続けたところ、他のスタッフが「肖像権の侵害ですよ」と反論。「公開するわけではないので」と伝えたところ、スタッフは「それならいいですよ」と返事。

 首を締められたメンバーDの件について、待機しているスタッフに「誰がやったかわかりますか」と聞きに行ったが、「ちょっとわからないです」といった対応でわからずに終わる。

→受診はしていないが、腕を抑えられてふりほどいたときに痛めたのか、右肩と右腕が筋肉痛